『お互いに頑張りましょう!』と、握手を交わしその場を去った。
埼玉へ帰る時間にはまだ早い。僕は最終時刻の切符を購入し、出発時刻まで秋田駅周辺を散策することにした。秋田駅西口から真っ直ぐ伸びる遊歩道を歩いていると、学生の集団が対面から向かってくるのが見えた。その奥で何か催しごとが行われているらしい。
ゆっくりとした足取りで近づいてみる。ブルーのシートが広げられ、美術館のような建物から楽器や何かの出展物が運び出されている。建物の周辺には白い三角テントが軒を連ねていたが、全店が片付け終わってテントの骨組みだけが残されていた。
『残念』と思って引き返そうとした時、真後ろに何かを感じた。振り返ってみると、狭い遊歩道脇の地面に広げられたシーツのような布の上に、写真や小冊子、オリジナルバッグ、Tシャツなどが並べられていた。僕は無意識のうちに一冊の小冊子を手にとっていた。
「イラク・・・です」
と、目の前にしゃがみこんだ30代男性は申し訳なさそうに僕に話しかけた。手にした小冊子には『Sorrow in iraq』と書かれている。直訳で『イラクでの悲しみ』というタイトルそのままに、内容はイラク戦争での悲劇の写真が全てだった。他にも、クエート、パレスチナ、モンゴル、沖縄などの悲劇を題材にした作品が並んでいる。
「これ自分で作ったんですか?」と、尋ねてみた。
親泊健(おやどまりたけし)。彼はフリーカメラマンで、悲惨な場所を訪れて写真に収め、世界の悲惨な現状を一人でも多くの人に知ってもらいたくて、日本中を訴えて回っているのだとか。
白髪交じりの頭に少しやせこけた人相と、語り下手な人格からは、死への覚悟と恐怖をリアルに感じる。僕は、たまたま読んでいた本『闇の子供たち』を思い出した。
彼のイニシャルが僕と同じT.Oだからか、はたまた僕の誕生日がマザーテレサと同じ8月27日生まれだからか、僕は彼の作品に惹かれていた。
この日の秋田は雨の予報だった。しかし、雨が降るどころか文句のつけどころがないほどの晴天だった。もし、雨が降っていたならば、路上で本を売ることなど出来るはずもないのだから、僕は確実に彼には会っていないと思う。『運命』というほど大げさなものではないかも知れないが、それに近い衝撃を感じていた。僕は彼の作品である小冊子を2冊購入した。これをきっかけに、1週間後、僕は『国境なき医師団』に寄付を始める。
「これからも頑張って下さい。僕も将来はそんな活動がしたいと考えています。埼玉に来たら是非連絡して下さい!」
そう彼に伝えて、しっかりと握手を交わした。
僕は秋田駅のプラットホームに立っている。
若干肌寒くなった夜の風は、旅を振り返るのにちょうど良い。
『旅は道連れ世は情け』
昔の人はうまく言ったものだ。振り返ってみれば、この言葉がとてもよく似合う旅になった。担いでいる大きなアーミーバック以上に、大きくて貴重な財産を土産に家路へと向かう。
初秋の旅は、僕の人生に確かな足跡を残した。
■参考URL
フリーカメラマン親泊健さん
http://jp.youtube.com/watch?v=vzTEKeo93cA
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/




うまい事言ったもんだな
次回は情けをかけて俺を旅の道連れにしてみるのはどーじゃろ??もちおごりでテ
( ̄―+ ̄)ニヤリ
座布団一枚
「お〜い、山田君。やまの座布団、全部持ってってちょ〜だい」
誰がタダで連れてくかボケ!
ま〜女性なら考えてもいいかなぁ。
くっくっくっ